1級・2級キャリアコンサルティング技能士とは
「国家資格キャリアコンサルタント」の上位資格にあたるもので、技能検定という国家検定の試験に合格することにより「国家検定 キャリアコンサルティング技能士」を名乗ることができます。
キャリアコンサルティング技能士には「1級」「2級」があります。2級キャリアコンサルティング技能士は「熟練レベルのキャリアコンサルタント」、1級キャリアコンサルティング技能士は「指導レベルのキャリアコンサルタント」と区分けされています。
国家資格キャリアコンサルタントと1級・2級キャリアコンサルタントの位置づけ
「指導レベルのキャリアコンサルタント」とは
より具体的には、「国家資格キャリアコンサルタントに対し、キャリアコンサルティングの実務に関する指導をすることができるキャリアコンサルタント」ということです。
国家資格キャリアコンサルタントは5年ごとに更新が必要で、更新を受けるためには
1)キャリアコンサルティングを適正に実施するために必要な「知識」の維持を図るための講習につき8時間以上
2)キャリアコンサルティングを適正に実施するために必要な「技能」の維持を図るための講習につき30時間以上
という講習を受けることが必須となっています。
ただし、1級キャリアコンサルティング技能士からキャリアコンサルティングの実務に関する指導を受けた時間、または実務に従事した場合は10時間以内に限り、上記の2)の講習を受けたこととみなされます。
このため、1級キャリアコンサルティング技能士はキャリアコンサルティング業務のみならず、国家資格キャリアコンサルタントへの指導も業務とすることができるのです。
キャリアコンサルティング技能検定について
1級・2級キャリアコンサルティング技能士になるには、厚生労働省から試験団体として認可を受けた「特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会(CC協議会)」が行なう「キャリアコンサルティング技能検定」に合格することが必要です。
キャリアコンサルティング技能検定は、キャリアコンサルティングの職種における上級(1級)または中級(2級)の技能者が持っているべき技能、また知識の程度を判定するために行なわれます。
試験は学科と実技論述・実技面接の3つからなり、このすべてに合格する必要があります。どれかに不合格となった場合は、その試験のみを次回以降の検定試験で受験し、合格すれば技能検定の合格者となります。つまり、合格した試験については免除されるということです。ただし有効期限があり、合格した試験が行なわれた日の翌々年度末に行なわれる試験までとなります。
試験日程は一つの年度につき、1級は1回(学科試験及び実技論述が12月、実技面接が翌年1~2月)、2級は2回(前期…学科試験及び実技論述が6月、実技面接が7~8月。後期…学科試験及び実技論述が12月、実技面接が翌年1~2月)
試験結果は合格・不合格・点数のみ通知され、学科試験の正誤の内容や実技試験でどのポイントが具体的に不足していたかを知ることはできません。
キャリアコンサルティング技能検定の受検資格
キャリアコンサルティング技能検定は、次のいずれかの要件を満たした方が受験できます。
1級
1)10年以上の実務経験*1 を有する者
2)9年以上の実務経験*1 を有する者で、大学*2 において検定職種に関する科目*3について20単位以上修得し、卒業したもの
3)9年以上の実務経験*1 を有する者で、キャリアコンサルタント試験*4 の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣が認定する講習を修了したもの*5又はこれと同等以上の講習を修了したもの
4)8年以上の実務経験*1 を有する者で、大学院*5において検定職種に関する科目*3について8単位以上修得し、修了したもの*5
5)8年以上の実務経験*1を有する者で、キャリアコンサルタント試験*4に合格したもの*7、またはキャリアコンサルタントであるもの*8
6)2級の技能検定に合格した者で、その後、3年以上の実務経験*1を有するもの
2級
1)5年以上の実務経験*1 を有する者
2)4年以上の実務経験*1を有する者で、大学*2において検定職種に関する科目*3について20単位以上修得し、卒業したもの
3)4年以上の実務経験*1を有する者で、キャリアコンサルタント試験*4の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣が認定する講習を修了したもの*5又はこれと同等以上の講習を修了したもの
4)3年以上の実務経験*1を有する者で、大学院*5において検定職種に関する科目*3について8単位以上修得し、修了したもの
5)3年以上の実務経験*1を有する者で、キャリアコンサルタント試験*4に合格したもの*7またはキャリアコンサルタントであるもの*8
脚注:
*1
実務経験とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力開発及び向上に関し、相談者の希望に応じて実施される相談に継続的・反復的に携わった経験をいう。なお、労働者には、現在就業している者のほか、現在仕事を探している求職者、学卒就職希望者等を含む。
*2
大学には、課程が学校教育法による大学の学士課程と同等の教育水準であると独立行政法人大学評価・学位授与機構によって認定された大学及び学校教育法による大学と同等以上と認められる外国の学校を含む。
*3
検定職種に関する科目とは、研究科や専攻の名称にとらわれず、心理学・教育学・社会学・経営学・社会福祉学・看護学・その他の人間科学及び人事・労務管理関連科目のうち、協議会が認めたものに限る。
*4
キャリアコンサルタント試験とは、職業能力開発促進法(昭和44年法律第64号)第30条の4に規定するキャリアコンサルタント試験をいう。
*5
キャリアコンサルタント試験の受験要件を満たすものとして厚生労働大臣が認定する講習 を修了したもの には、平成33年3月末日までの間、標準レベルのキャリア・コンサルタント養成講座修了者 を含む。
*6
大学院には、課程が学校教育法による大学の学士課程と同等の教育水準であると独立行政法人大学評価・学位授与機構によって認定された大学及び学校教育法による大学院と同等以上と認められる外国の学校を含む。
*7
キャリアコンサルタント試験に合格したものには、平成33年3月末日までの間、標準レベルのキャリア・コンサルタント試験に合格している者又はこれと同等以上の能力を有すると認められる者を含む。
*8
キャリアコンサルタントであるものとは、職業能力開発促進法第30条の3に規定するキャリアコンサルタントであるものをいう。
(特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「国家検定 キャリアコンサルティング技能検定」ホームページより)
上記のように、キャリアコンサルティング技能検定は「実務経験」を積んだ人でなければ受験することができません。これはキャリアコンサルティング技能士が国家資格キャリアコンサルタントの上位資格であることから当然と言えます。
キャリアコンサルティング技能検定の試験科目
キャリアコンサルタント試験の試験科目は次のとおりです。
<1級>
●学科試験
- 1 キャリアコンサルティングの社会的意義
- ① 社会・経済的な動向とキャリア形成支援の必要性の認識
② キャリアコンサルティングの役割の理解
③ キャリアコンサルティングを担う者の活動範囲と義務 - 2 相談実施等に係る諸理論及び諸制度
- ① キャリアに関連する理論の理解
② カウンセリングに関連する理論の理解
③ 自己理解に関する理解
④ 仕事・職業に関する理解
⑤ 職業能力開発に関する理解
⑥ 雇用管理(人事管理・労務管理)に関する理解
⑦ 労働市場等に関する理解
⑧ 労働法規、社会保障制度等に関する理解
⑨ 学校教育制度、キャリア教育に関する理解
⑩ メンタルヘルスに関する理解
⑪ ライフステージ、発達課題に関する理解
⑫ 転機に関する理解
⑬ 相談者の類型的・個人的特性に関する理解 - 3 相談実施技法
- ① 基本的スキル
② 相談実施過程において必要なスキル - 4 相談実施の包括的な推進と効果的な実施能力
- ① キャリア形成、キャリアコンサルティングに関する教育、普及活動
② 環境への働きかけの認識と実践
③ ネットワークの認識と実践
④ 自己研鑽・スーパービジョン
⑤ キャリア形成支援者としての姿勢 - 5 グループアプローチ
- 6 教育指導
- 7 事例指導
●実技試験
- キャリアコンサルティング作業
- 相談実施等に係るスキル
相談実施過程において必要なスキル
グループアプローチ
事例指導
<2級>
●学科試験
上記、1級の試験科目の1(キャリアコンサルティングの社会的意義)~4(相談実施の包括的な推進と効果的な実施能力)まで
●実技試験
- キャリアコンサルティング作業
- 相談実施等に係るスキル
相談実施過程において必要なスキル
(特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会「国家検定 キャリアコンサルティング技能検定」ホームページより抜粋)
キャリアコンサルティング技能検定の試験区分と出題形式、および合格基準点
級 | 試験区分 | 出題形式 | 問題数 | 試験時間 | 合格基準 | |
---|---|---|---|---|---|---|
2級 | 学科試験 | 筆記試験 (四肢択一のマークシート方式による解答) |
50問 | 100分 | 100点満点で70点以上の得点 | |
実技試験 | 論述試験 | 記述式による解答 | 1ケース | 60分 | 100点満点で60点以上の得点 | |
面接試験 | ロールプレイ: (受検者がキャリアコンサルタント役となり、相談を行う。ケース内容の概要については、受検票と同封の試験実施概要に記載) 口頭試問: (自らの相談について試験官からの質問に答える) |
1ケース | 30分 (ロールプレイ20分、口頭試問10分) |
100点満点で60点以上の得点 ※評価区分ごとに満点の60%以上の得点(所要点)が必要です。 |
||
1級 | 学科試験 | 筆記試験 (五肢択一のマークシート方式による解答) |
50問 | 100分 | 100点満点で70点以上の得点 | |
実技試験 | 論述試験 | 記述式による解答 | 2ケース | 120分 | 100点満点で60点以上の得点 | |
面接試験 | ロールプレイ: (受検者が事例指導者役となり、事例相談者役の指導を行う。ケース内容の概要については、受検票と同封の試験実施概要に記載) 口頭試問: (自らの相談について試験官からの質問に答える) |
1ケース | 40分 (ロールプレイ30分、口頭試問10分) |
100点満点で60点以上の得点 ※評価区分ごとに満点の60%以上の得点(所要点)が必要です。 |
*学科試験と実技 (論述) 試験は同日、同会場で行います。
キャリアコンサルティング技能検定の合格率
試験実施機関である「特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会(CC協議会)」は、実施したキャリアコンサルタント試験の直近2回分の合格率を公表しています。
(ただし、学科・実技両方に合格した人の率は公表されていません)
2級 試験種別の合格率
第17回 | 第16回 | |
---|---|---|
学科 | 62.70% | 73.65% |
実技 | 15.27% | 16.45% |
1級 試験種別の合格率
第6回 | 第5回 | |
---|---|---|
学科 | 53.41% | 48.13% |
実技 | 8.32% | 4.47% |
中山アカデミーは「キャリアコンサルティング技能検定対策講座」を開講しております。
1級キャリアコンサルティング技能士である当アカデミー代表・中山が、自らの実務経験や技能検定の受検経験から培った「合格のためのノウハウ」を確立。ここに、独自に分析した毎年の出題傾向も加味し、“合格に直結する”講座、教材を提供しております。
国家資格キャリアコンサルタントからのステップアップを目指す方、すでに実務経験があってキャリアコンサルティング技能士を目指す方が、2級はもとより、最難関である1級においても合格を勝ち取れますよう、心より応援させていただきます。